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2025.5.27-30 知床連山縦走

道道知床公園線開通に合わせて知床連山の登山道管理のために縦走。雪の状況を中心にお伝えしますね。

例年6月1日に開通する道道知床公園線ですが今年(2025)は曜日の関係で5月30日。知床山考舎は環境省の登山道管理業務を受注しましたが、この開通日に合わせて知床連山縦走路の作業に入山しました。

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良い天気に山頂付近は新たな霜で白くなっていましたが、日中の気温は高くて残雪はキックステップも軽く行動できました。仙人坂から銀冷水までは道はほぼ出ていません。まだ残雪期のルートも使えます。

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銀冷水の携帯トイレブースの姿は出ていますがシートを外すにはまだ早いので使えません。この日はこのブースのすぐ脇から大沢に入ることができました。

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大沢は全面積雪ですが、第一の岩場の右岸側に早くも亀裂が広がりつつあります。フォールラインもそこに向かっています。

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羅臼平テントサイトは地面が出ていますが、あちらこちらアイゼンで耕されていました。アイゼンは地面が出ているところでは外す、脱着は雪氷の上でお願いします。

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三ッ峰の雪渓も大きく残っていますが、現在のところ傾斜は見た目ほどありません。夏道はこの雪渓の下ですが、ハイマツなどヤブの出入口は最上下部になります。これはほぼ全ての雪渓に共通していますが、積雪に幹枝が寝かされていて出入口が塞がっている場合があります。

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三ッ峰上部のお花畑から三ッ峰テントサイトまでは雪渓がつながっています。もちろんテントサイトは積雪下。フードロッカーは出ています。今年は2基あるフードロッカーのうち1基の補修を行うため当面使用できません。

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サシルイ岳南西側と上部の雪渓は例年並みですが、北東側は長く残っています。雪渓最上部から下降するのに進路を見ていたら最下部に岩か?でもあそこに岩はないはず、、、

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ヒグマの親子でした。仔グマがわんぱくにあちらこちら走り回り母グマが後になり先になり歩いています。暑い日だったので雪の上で涼んでいたのかもしれません。道をゆずってくれるまで2時間弱待機。

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できたての足跡。

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ミクリ沼も積雪の下ですが、湿原となる場所は冠水しています。

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オッカバケ岳北東斜面は中間部のハイマツが立ち上がっているものの二ッ池まで雪の斜面。

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二ッ池テントサイトのフードロッカーも姿を現したばかり。

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今回は3泊4日でしたが、テントサイトはすべて積雪で流れ出しもないので、水は雪を溶かして作成。

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二ッ池テントサイトから南岳分岐までは天ノ池を通ってまっすぐに。分岐からは硫黄平から第一火口まで雪で覆われているのが見えます。

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雪が多いのか、と問われると、積もり方に違いがあるので何とも。二ッ池から南岳分岐を過ぎた岩が露出した場所付近へは、以前は6月中旬に雪が繋がっていることもあったのに、今年は繋がっていません。雪の量と風向きといろいろと要素があります。

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南岳と知円別岳の間・1475北側の凹地の登山道は水没状態。今回は積雪の上を回り込むことができましたが、しばらくは靴を濡らすことになりますね。

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知円別平も積雪ですが、中間部の細かく白い火山礫が堆積する登山道部分だけが早々に露出して、エゾコザクラが咲いていました。ギンザンマシコなど野鳥もオスとメスで飛び回っています。

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知円別分岐から中ノ廊下へのガレ場は分岐側が昨年最終よりも崩落が進んでいました。落石に注意。

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硫黄山第二前衛峰南側の雪渓は長く続いています。

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第一火口分岐から第一火口テントサイトへの急な斜面も積雪。

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ハイマツの峠部分は登山道が出ていますが、テントサイト自体は全くの雪原です。

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硫黄山山頂の斜面は雪で覆われています。夏道のある尾根大岩から硫黄分岐の途中から雪で急傾斜。滑落するとガレ場に到達します。この日は第三火口側の斜面の方が無理なく登れる傾斜でした。

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が、上部の1520m付近まで続く雪の斜面は最上部傾斜がキツくなり亀裂も多数あり、岩場と接するところは口も開いています。そしてその場所が登山道と接する地点となっていましたので、今回は無理せずに山頂の確認はお預け。

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この日の下山は知床岳を見ながらグリセードを楽しめるコンデションでしたが、まだまだ新規降雪や低温になることもあるので、ピッケルやアイゼン、滑落停止技術が必要です。

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尾根大岩から少し降ると硫黄川の中は全面雪渓。第二ノ滝、第一ノ滝もまったく埋まっています。今年も雪面に落石が多くあります。沢出合の降りすぎ防止ロープは展開しました。

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新噴火口は一番水蒸気をあげていた噴気孔に向かって登っていく手前にあった噴気孔の元気が増したように感じます。融雪時期だからか?

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良い天気が続いたためか針状の結晶が綺麗に見ることができました。

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道道知床公園線は5月30日午前11時に開通。硫黄山登山口からカムイワッカ湯の滝前のゲート間の通行は特例利用の届出が必要です。今回は出発前にバタバタして提出できずに、縦走中に山の中からメールで提出させてもらいました。

夏山シーズンにむけて準備を進めていきます。安全に登山を楽しんでいただけるようにしたいと考えています。

(滝澤:知床山考舎 代表)

「2025.5.27-30 知床連山縦走」への1件のフィードバック

  1. いつも的確な情報の提供ありがとうございます。
    今年の残雪量は、風向きによって状況が例年通りじゃないと言うことでしょか⁉︎
     何れにせよ、大変参考になりました。お疲れ様でした。

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