森づくり体験と羅臼岳登山を組み合わせた知床財団が企画したYAMAPツアー。山頂から開拓跡地を再生している様子を見ることができました。
秋の羅臼岳に登って、知床100平方メートル運動地での植樹作業も行って知床を満喫してもらう企画。YAMAP 春山代表が知床で行われたトークイベントがきっかけとなり、遊ぶ場である山や森を良くする共助の一歩として、森を育てる楽しさを体験として、公益財団法人 知床財団が企画したものです。26日の羅臼岳登山と27日の植樹作業の二日間。滝澤は登山ガイドを担当です。
秋らしい青空のもと羅臼岳へ。ようやく秋らしい気温になってきましたが、樹々の色付きは悪くて寂しいかぎり。花々ももう終わりになっているのですが、わずかに残っている彩りを探しながら登ります。狂い咲いたカワラナデシコやキバナシャクナゲ、アオノツガザクラも見られました。
羅臼平あたりから雲に覆われたり抜けたりとなりましたが、山頂では北側がすっきりと見通せるようになり、麓に広がる開拓跡地である知床100平方メートル運動地が見渡すことができました。森づくりを行っている知床財団によって森の再生の説明。どんな大画面を使っても映像ではかなわない生のプレゼンとなりました。
幅広い年齢層の参加者のみなさんでしたが、YAMAPを活用していることもあり、すぐに打ち解けた様子。登山道沿線にたくさん出現したキノコを見つけては写真に収める自称キノコ隊までできて楽しい登山となりました。
この日の往路、羅臼平テントサイトの広場に入るところでヒグマが山頂側のハイマツから出てきていて、唸った後で踵を返してハイマツの中へ。緩いカーブでお互いの姿が見えず5mほどの遭遇でした。こちらは参加者の鈴や話し声で結構賑やかでしたが、そのあたりはコケモモの実が他のところに比べて多く残っていたようなので魅力的だったのでしょう。その後の動きを確認するため、しばらく待っていたところ、登山道から50mほど離れたハイマツ帯にヒグマの姿が見えましたが、先ほどの個体より大きく色合いも違うため別個体のよう。その個体とは距離もあり、別個体の動きも考慮しなければならず、休憩もかねて15分ほどその場にとどまったことになりましたが、その間にハイマツの中を移動しながら姿が見え隠れする様子を多くの登山者がカメラに収めることになりました。そのヒグマの人への警戒心を低下させることにつながっていなければ良いのですが。。。
すれ違う登山者などと情報交換していくと、この日は羅臼平で2〜3頭、山頂付近で3頭のヒグマが活動していました。秋としては比較的多くの登山者が登っていました。参加者の中から、多くの登山者がいるからヒグマは出てこないと思っていた、という声がありましたが、そのような考えは捨てるべきです。
追記:26日に羅臼温泉コースの冬じまいの登山道管理作業が行われ、ガイドロープなどが撤収されたとのことです。
(滝澤:JMGA登山ガイドステージIII)