植生調査や登山道管理作業で4泊5日の知床連山縦走。天気に恵まれて作業もすすみました。
知床山考舎は環境省より令和5年度の登山道管理作業を受注しています。
今回は硫黄山登山口から入山。沢出合から大岩分岐までの硫黄川は例年なら雪渓が長く続いているのですが、すでに河床が出ています。第一の滝、第二の滝ともに巻道利用。第二の滝より上部から雪渓が出てきますが、例年どおり大岩分岐はすでに夏道。
硫黄山山頂と縦走路の分岐点はまだ雪に覆われています。急傾斜の雪上の行動となります。
気温などの条件によりアイゼンとピッケルの組み合わせが必要です。
アイゼンだけの方が多いようですが、滑落した場合に岩石が露出したところに至る前に停止するためにはピッケルが必要です。
第一火口はメインのテントサイトもすっかり乾いて快適。
フードロッカーは雪の下から出ています。雪渓からの採水も可能。
第二前衛峰南東は標高差50mの急斜面の雪渓。通過の際は気温などの条件によりアイゼンとピッケルの組み合わせが必要です。例年よりも下部が先に融雪して地面が出ているので、滑落して勢いがつくと危険。
硫黄山周辺のシレトコスミレは例年よりも良い感じ。メアカンキンバイやチングルマなどもすでに縦走路各地点で開花しています。
二ッ池は雪解け水で水位が上がっていますが、例年ほどではない状態。テントサイトのある地の池の水質はここのところ雨が少ないためかちょっと不安。
まだ雪に覆われている天の池から旧登山道を流れて来る水を汲むか、オッカバケ岳北東斜面の雪渓を利用した方が安心。
ミクリ沼はまだ雪の下。登山道が水路になっている箇所があります。サシルイ岳北東斜面は雪渓が長く続いています。
三ッ峰テントサイトは雪の中から出てきましたが南側のサイトはまだ乾き切っていません。ちょっとの雨でぬかるみそうです。
羅臼岳二ノ肩雪田はまだ残っています。歩行ルートを旗などで示しています。
例年の同時期に比べて日帰りも縦走も登山者がとても多く感じます。COVID-19がひと段落したためでしょうか。例年よりも早い融雪で雪上での行動は少ないのですが、雪上を行動する装備を用意していなかったり想定していなかったという方がいました。
そのような方が雪面を避けて地面が露出したところを歩くのですが、そこはお花畑になるはずだった場所です。植生地帯に入らないようロープを展開しても跨いで侵入する方を複数名注意しました。写真右側のお花畑はすっかり踏み荒らされて道のようになってしまいました。本来の登山道はロープの左側でまだ雪に覆われています。また、アイゼンやチェーンスパイクを用意してきている方でも、脱着を登山道上や路外のお花畑になるはずの地面で行う方、次の雪面まで装着したまま登山道を歩く方もいるため、土壌がアイゼンの爪などでほじくり返されています。アイゼンを履いたまま地面を歩くと石を踏んで転倒や捻挫の危険も大きいものです。
お花畑を守るため、あなた自身がケガをしないために、、、
- ガイドロープの外に出ないで
- アイゼン等の脱着は雪上で
- 雪面歩行の知識や技術、キックステップなどを身につけて
- 雪面で滑落した時に停止できる知識や技術、装備を
(滝澤:知床山考舎)