硫黄山カムイワッカ登山口が6月1日から利用できることになったのでさっそく入山、知床連山を縦走しました。(積雪の状況など登山情報記載しています)
知床連山には羅臼岳の岩尾別登山口と羅臼温泉登山口、そして硫黄山のカムイワッカ登山口があります。カムイワッカ登山口に通じる道道知床公園線は、落石の恐れがあるため登山者は特例利用の申請をして通行することとなっています。これまで特例利用できる期間は、登山に適した6月中旬から9月下旬でしたが、今年度からカムイワッカ湯の滝への道路開通期間と同じになり、6月1日から10月3日(いつもなら11月上旬までですが今年は工事のため)までカムイワッカ登山口が利用できます。と、いうことで登山道の状況確認など行うために縦走していました。
特例利用申請は、事前に北海道オホーツク総合振興局に提出するかカムイワッカ湯の滝の現地のゲート前にある記載所で提出してください。詳しくはこちら
http://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/kk/akk/shiretoko_riyou.htm

硫黄山登山道の硫黄採掘地跡からカムイワッカ湯の滝四の滝が見おろせます。今年は落石で通行禁止が続いていた四の滝までの試験的な利用も斜里町などにより検討されていましたが、COVID-19の緊急事態宣言とその延長(北海道。6月20日まで)に伴い足踏み状態に。再開が待たれます。

5月31日の雨氷で硫黄山の山頂も白く見えています。道路開通が午前11時だったので、氷で閉塞していたハイマツの間の登山道も日差しと気温上昇で通行できる状況になっていましたが、跳ね上がる枝から氷が降り注ぎます。

沢出合からは硫黄川を登っていきますが、積雪で埋まっています。下山する場合に沢出合を見逃して降りすぎると滝に出てしまい、過去には滑落事故も起きていますので、沢を横断するようにロープを展開しています。写真はF1(第一の滝)ですが埋まっています。F2(第二の滝)も埋まっていますが、早くも左岸側に亀裂が入ってきていました。

大岩分岐から植生保護と道迷い防止のためのガイドロープを展開する予定でしたが、前日までの雨氷で凍りついていて作業にならず。硫黄山山頂への登山道も縦走路も雪の急斜面に埋まっています。地面が露出している場所に滑落するので歩行技術、装備の用意を。

縦走路は急斜面をトラバースしますが、積雪の下にある登山道をGPSのトラックを頼りにトレースしてしまうと危険なルート取りになる場合があります。積雪の量や雪質など刻々と状況が変わりますから安全なルート取りを。ただし、植生保護のために登山道から雪面の出入口をよく見極めて。ただでさえ崩れやすい地形な上に雪解けで脆弱になった土壌は踏み込むことで簡単に失われます。

昼からの入山と途中作業しながらだったので硫黄山第一前衛峰からは夕陽にそまる知床連山が楽しめました。第一火口分岐から第一火口テントサイトの間は雪で覆われていますが、登り返しのあるハイマツ帯で分断されていますから道迷いに注意。

第一火口テントサイトは全面積雪でフードロッカー=食糧保管庫も埋まったままです。二日目の朝、ハイマツの雨氷がなくなってくれないと登山道も通行できないし、凍れついたロープも解けないので、日差しと気温上昇を期待してゆっくり待っていたのですが。。。気温はなかなか上がってくれず、硫黄山周辺での作業は次回以降に。

二ッ池テントサイトは雪はなく地面が露出、フードロッカーも使用可能。地の池の水面も出ているので水が汲めます。

オッカバケ岳北東斜面は大きく雪がついていますが、それを分断するハイマツ帯で登山道の出入り口を探すことになるでしょう。雪で押されて枝が寝ているのでわかりづらい場合があります。

オッカバケ岳南西斜面には雪はありません。ミクリ沼は完全に積雪下。湿地帯は融雪水でジャブジャブです。サシルイ岳北斜面は長い雪渓が続いています。

サシルイ岳は南斜面に雪が残っており登山道の出入り口がわかりづらくなっています。スコリアの登山道は雪はなくなっていますが、お花畑雪田は全面積雪なのでここでも登山道の出入り口がわかりづらい状況です。

三ッ峰テントサイトは全面積雪。雪が厚く残って凹地地形が埋まっているて風を避けることができなかったので、本来のサイトとはちょっと外れてテント設営しています。フードロッカーは使用可能。

三ッ峰北東斜面は急傾斜で雪が残っています。ハイマツの際を通行することになりますが、この先融雪が進んで登山道の脇などが出てくるようになった場合は植生を踏まないよう配慮が必要です。

三ッ峰南西斜面は中下部に急傾斜で雪がついています。下部に岩や樹木が出てきているので滑落注意。写真のとおり羅臼岳も山頂直前まで二の肩、一の肩の雪田が残っています。

大沢の融雪は進んで第二の岩場は口を開けて雪解け水の滝になっています。登っていく場合はわからずに開口部が見えずに向かってしまうと踏み抜く危険性があるので注意。第一の岩場もフォールラインに岩が露出しています。
大沢出合から羽衣峠はまだ夏道が通行できず大沢の雪上をそのまま通行。
羽衣峠から銀冷水は辿れるもののまだ雪が多く通過に苦労します。
銀冷水から仙人坂の登山道は部分的に出てきていますがロストする恐れがあるのでルートを確認しながら。
仙人坂はつづら折りの屈曲点は登山道が出ていますが、中央を縦に走る沢形は急斜面で雪が残っています。この雪渓をつづら折りで三回トラバースするわけですが、滑落には注意を。雪質と残り具合、技術と装備次第では直登も検討できます。
極楽平から登山口までの積雪はなくなりました。
知床連山縦走ができる準備が整ったのですが、COVID-19のためにガイドツアーは見合わせの時期になっています。知床山考舎では北海道の緊急事態宣言が明ける6月20日以降からはツアー再開の予定です。知床の核心部を体感できる知床連山縦走。みなさんと一緒に楽しみたいと思います。
COVID-19対策のため募集型ではなくご家族や知人同士などによるプライベートプランのみの受け付けとなります。6月20日以前でもお問い合わせに対応はしていますので、どうぞご連絡ください。
(滝澤:知床山考舎 代表・JMGA登山ガイドステージIII)