IMG_1841

2019.8.6-8 日高山脈 札内岳 ピリカペタヌ沢

どうしても札内岳の山頂に立ちたい、というリクエストにお応えしてピリカペタヌ沢から沢登り二泊三日でした。

戸蔦別川は3年前の台風で被害を受けて林道もずいぶん流されてしまい、仮復旧状態。戸蔦別ヒュッテまでも夏前は通行止めでしたがようやく行けるようになりました。今回のルートもピリカペタン沢川林道が上流まで伸びていた以前であればかなり楽だったはずですが、、、

林道ゲートから入って20分も歩けば流されてしまっています。河原を歩くよりは道の名残を追っていったほうが楽ですし、何より砂防ダムを越える部分では道が残っているので助かります。河原は石と倒木が積み重なった部分が多く、各沢出合も崩れた地形になってしまっています。

IMG_1807

八ノ沢出合付近で一泊目にするのが普通ですが、クライアントの体力と前後の天候から増水など無しと考えて九ノ沢より上にキャンプをあげました。猫の額ほどのテントスペースでしたが、途中からクライアントが登りたいもう一つのピーク、十勝幌尻岳が見えて気合も入ります。

二日目にアタック。滝も出てきてようやく沢のぼりらしくなってきます。高巻きはロープで確保しながら。30mの滝以外はいやらしい草付きで登りにも降りるにも神経使います。

IMG_1835

カールに上がってからは気温も高く風もぬけずに暑い。踏み跡はけもの道のほうが多く、ヒグマが掘った跡が目立ちます。あまりの暑さに頂上直下で日影のある側に回り込んで涼んでから札内岳山頂に到着。

十勝幌尻岳はもちろん、カムイエクウチカウシ山、日高幌尻岳までぐるり見渡せました。

IMG_1842

再びカールから沢に。疲れも出ているので慎重に下りていたのですが、高巻きのトラバースでクライアントがスリップ。ロープで確保していましたから、そのまま手足で地面や草木を掴んでくれるとよかったのですが、本人無意識にロープを握って体を丸めてしまったので横転、振られたロープの伸び縮みで地面から浮いてしまい3m落下。登り返せないということでロワーダウンでそのまま滝つぼ近くに降りてもらいました。その時点で擦り傷と打ち身以上のケガは確認できず、降りた先で濡れたので着替えてもらって再出発。残りの高巻きは無事に降り、キャンプ到着。明日は雨が入ってくる予報なので八ノ沢出合までキャンプを下げました。

IMG_1845

八ノ沢出合のキャンプ適地は平地もあり快適。月も出るなかのんびりと夜を過ごしました。

IMG_1872

三日目、キャンプ撤収し下山開始。定時、不定期にクライアントのキズやケガのチェックをしてきましたが、下山を開始してから肩に違和感があるということで見てみると今朝までなかった腫れなどが見られるように。下山後に病院に行ったら鎖骨が欠けていたそう。腫れ自体は骨よりもザックのショルダーハーネスがきつく食い込んだためだと思いますが、その際に骨の端が欠けたようです。手術などはせずそのままで大丈夫とのこと。

IMG_1852

クライアントは78歳。診断結果とともに十勝幌尻岳にも挑戦したいと想いを伝えてくれました。いっしょに行きましょう!

(滝澤:JMGA登山ガイドステージⅢ)