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2019.3.9-11 知床岳

毎年少しづつ知床半島冬季縦走で知床岬を目指しているクライアント。いよいよ岬を射程距離に入れましたが、条件悪く知床岳で撤退しました。

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3月9日はポカポカ陽気のプラス気温。暑くてヤッケなど着ていられません。今年は全体に積雪も少なく例年より一ヶ月以上あとの景色。とはいえ、カモイウンベ川右股の渡渉点はたっぷりの雪で埋まっていて不安なく渡ることができました。

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・474m付近から見ると知床岳の台地に取り付く尾根はハイマツの緑色がくっきり。ルサ乗り越え方面から続く尾根筋のほうは昨年の挑戦で越えてきたルートですが、そちらもハイマツが出ていて今年は歩くには苦労しそうです。

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急な取り付き尾根ですが、暖気で雪も腐りツボ足にストックで登ることができました。降りてくる日帰り登山者は一様に台地は踏み抜いて苦労したと言いますが、こちらは停滞日含めて縦走8日分の荷物もあるのでここまでも踏み抜いて苦労しています。

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まだ幸いなのはハイマツ自体が立ち上がっていないということ。踏み抜くものの上を歩くことができます。台地の肩まで登り、国後島との間に入っている流氷を眺めます。流氷は国後島方面には寄っていますが知床半島とは離れていますし、ここまで見たところでは海岸線にもなくなっているので、帰路は海岸線としていた計画をエスケープルートの尾根往復に変更です。

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台地上はクラストして楽になることを期待していましたが、一歩一歩がスネから膝までの踏み抜きと、枝に引っかかって素直にスノーシューが抜けてこない「抵抗付き踏台昇降」で大アルバイト。計画のC1に到着時は夕日に染まる硫黄山がきれいでした。(トップの写真)

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風はややあるものの星空の下でテント泊。見えた範囲ではポロモイ岳までは何とか行けそうですが、そこからは先の標高の低いウイーヌプリ方面は緑が濃いこと、ひどい踏み抜きと11日にやってくる発達する低気圧の通過を考えると今回知床岬まで到達するのは難しいと判断。粘るなら雪洞を掘るのですが。。。10日01時に風向きが逆になり強くテントを押すようになりました。立てていたストックには一晩で立派なエビの尻尾が。体が振れないくらいまで風が弱くなる昼まで待って下山開始。数メートルしか視界の効かないホワイトアウトで、足元はやっぱり踏み抜きで滅入ります。

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台地からの取り付きの尾根は登る時とは違い低温で締まっていたのでアイゼンとピッケルで行動。一部はロープで確保。樹林帯まで降りてしまうと風もなくおだやか。夕方にC2を設営して見上げると台地の雲も抜けすぐに星も瞬きはじめました。

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11日朝はなんとも言えない晴天でしたが嵐の前の静けさか徐々に雲が広がり風も冷たく吹いてきます。海岸線に降りてカモイウンベ川の渡渉点ではスノーブリッジが使えました。9日の行きではブリッジが抜けて濡れるのが嫌だったので波打ち際近くの石を伝って難なく渡ることもできました。帰りは、まあ、濡れても30分で相泊なので。。。ポコッパコッと嫌な音を立てましたが滝澤のザック込み110kgかろうじて耐えてくれました。

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相泊に下山して迎えの車を待ちます。次回に向けてはテントの中で打ち合わせ済みです。当面の心配は迫り来る低気圧の中帰宅することでした。

11日夜から13日にかけて湿った雪が降り積もりました。上記の状況も大きく変わったでしょう。台地上の踏み抜きはなくなるかも、取り付きの尾根は今回の雪が載ったことで不安定になったかもしれません。例年と違う状況です。これから入山するみなさんはお気をつけて。

(滝澤:JMGA登山ガイドステージIII)