夏から秋らしくなってきた知床連山を二泊三日で縦走です。出会ったヒグマはのべ6頭でした。
第1日目、08時ちょっと前に岩尾別登山口を出発。二泊三日なので羅臼岳山頂を往復するとしてものんびり出発できます。 仙人坂から銀冷水上部まで登山道に石積みをする工事中のため、弥三吉水などや登山道沿線に資材が置いてあります。業者の皆さんおつかれさまです。大沢は第二の岩場上部に数メートル氷が残っていましたが通行に問題ありません。羅臼岳山頂からは雲から各方向をのぞくことができました。
羅臼平を見ると登山道を歩く登山者のすぐ横でヒグマが何か食べているようです。ヒグマは移動しながら登山道との距離は30〜0メートルと、たぶんコケモモの実などを食べているのでしょう。登ってきた登山者はヒグマに気がついていませんでした。
羅臼平に戻り三ッ峰を一山越えて三ッ峰キャンプサイトでC1。水はかろうじて流れていましたが、この先は降雨後も気温が低くなるとあてにできないでしょう。他に登山者もおらず静かな夜でした。
第2日目、計画よりちょっと早めに動き出しました。食料保管庫のある尾根上からは漁火が見えます。羅臼側は雲海に沈んでいましたが国後島の山々は頂をのぞかせていました。
オッカバケ岳、二ツ池と順調に歩みを進め、南岳を過ぎたところでヒグマ成獣がハイマツの中をダッシュで横切っていきました。まるでイルカが海面からジャンプするように、ハイマツの中から時折その体が飛び上がりどんどん遠ざかります。登山道の先の丘を回り込むと今度は子グマが二頭あわあわと逃げていきます。が、物陰に入ったと思うとすぐに顔を出してこちらを見ています。さらに先に進むと今度は開けた場所で成獣がやはり実を探しているのでしょう、頭を下げてウロウロしています。我々の話し声に気がつくと踵を返して遠ざかってくれました。
中の廊下にもヒグマの糞がボロボロ落ちていましたので、ちょっと緊張しながら第一火口キャンプサイトに。今年もたっぷり雪渓が残っていて第一火口分岐との連絡には雪渓を上り下りしなければなりません。このC2も貸し切りでした。
第3日目、天気が崩れてくる心配があり少し早めに行動。朝のうちは第一火口からも羅臼岳山頂が見える良い天気です。
羅臼側は相変わらず雲海ですが、斜里側は海から雲が流れ込んできています。遠からず稜線は雲に覆われるでしょう。その前に硫黄山山頂に登ります。
雲が上がってくるのと入れ替わりで下山開始。まだF2やF1の滝にはまだ雪が残っていますがルート的には夏の高巻きとなります。
水蒸気のあがる新噴火口ものぞいてきました。硫黄の結晶が見事についている状況と、噴気口に触れることができるところまで近づけることに驚かれていました。
新噴火口から下山しはじめてすぐにヒグマ成獣が登山道わきに。やはり実を食べているのでしょう。あちらこちらと顔を突っ込んでいます。我々の方をたまに見ていますし、こちらも声をかけたので気がついてくれているはずですが、食べながら少しずつ動いていきます。進行方向にいるので進むわけにもいかず、半時間ほどクマ待ちです。
クマ待ちしたとはいえ、普段からテント泊やトレーニングをされてきたということで行動時間に余裕をもって縦走を楽しむことができました。停滞日で一日確保していた分は斜里岳登山に振り返ることとしました。
(滝澤)