積雪の多い知床半島。羅臼岳も最近では2018年がもっとも積雪が多かったのですが、それを上回っています。
22日朝は峰浜の市街地でも標高30mより上は降雪して白くなりましたが、標高240mある岩尾別登山口は積雪15cm。
新たに降った雪の下には残雪が凍っています。登山道はまるっきり出ていません。残雪のツルツルに凍結した表面に今朝までの15cmの積雪ですから、人間が踏み込むと切れ落ち雪崩れます。弥三吉水までの登山道は斜面を横切るように設定されていますが、この雪の状態と押し倒されている樹木で閉塞しているため、夏道をそのままトレースすることはできません。樹木を縫って、また、尾根の上を通過しました。
弥三吉水付近で雲の上に出ると快晴。日照と気温の上昇で雪の状況が刻々と変わります。例年この時期は仙人坂東端の沢型を直登するルートを取りますが、さすがに危険。三ッ峰に向かう緩やかな尾根を使いました。山スキーだと登りも下りも快適なルートですが、スノーシューでは迂回が過ぎるため時間切れ。
全体に雪が多いのに、大沢の内部は少なく雪が詰まっていない感じ。例年なら第一ノ岩場から第二ノ岩場付近の右岸に発達する雪庇が全くありません。
銀冷水の携帯トイレブースもようやく頭を出したところ。2019〜2024年だと屋根はすっかり出て壁面も見えていました。
午後になり仙人坂の斜面は一面の雪まくり。
650m岩峰の上に立ったのは何年ぶりでしょうか。この日は山スキーを使った方が正解でした。
幸いなことに下山時には弥三吉水から下部の積雪が安定してくれたので、登山道や尾根上を通らず斜面を通過することもできました。ゴールデンウィークなど残雪期にこのようなルートを採る時は気をつけて。過去には道迷い遭難も起きていますし、調子良く降っているうちに沢に降りてしまって登山口まで辿り着くのに苦労したという方もいましたから。
今年(2025)から羅臼岳などでは登山口での入林名簿の記載が廃止されました。登山口に来てから入山の届け出をする仕組みともなっていたものがなくなりましたので、事前に登山計画書をオンラインなり書面なりで提出する必要があります。また、岩尾別登山口にあるホテル地の涯が施設改修のために夏山シーズン中は休業するとのことで、施設内に設置されている携帯電話基地局設備の運用がどのようになるのかわかっていません。
知床山考舎では3月3日に関係行政機関などにホテル地の涯様休業に伴う駐車場の混乱が予想される事態などについて対応が必要ではないかと意見を伝えていますが、未だどこからもレスポンスがない状況です。ゴールデンウィークを前に4月18日に登山口までの道路も開通し、シーズンも始まってしまいました。地元山岳会などとも連携して混乱のない状況とする方法を考えていきます。
(滝澤:JMGA登山ガイドステージIII)