早い雪解けにどうなることかと思いましたが、素晴らしい天気に恵まれ最高の山行になりました。
昨年は雪崩で相泊までの道路が通行止めになっていてアタックが難しかった知床岳。今年は小雪と早い雪解けで尾根のハイマツが立ち上がってしまわないか心配でした。いつもなら雪に覆われている海岸の番屋の前も石が出ています。
海岸から標高40mまで一段登る斜面はササに覆われていました。やはり雪解けが早いわけですが、その先はスノーシューで行動できました。
カモイウンベ川右股はスノーブリッジが残っていたので楽々通過。・474mを越えてテント設営。食料はフードコンテナ=ベアキャニスターで保管。月のない寒くない夜だったためお客様は満点の星空をテントの外で楽しんでいました。
翌朝も朝から良い天気。テントを撤収し寝袋やベアキャニスターなど宿泊装備はデポジット。野生動物対策として樹上にコードを張って吊るしてから出発。国後島から朝日が昇ります。
アイゼンに履き替えて急傾斜の尾根に。上部はハイマツが出ており少し迂回。台地の縁もハイマツが立ち上がってきていますが通過可能。台地上のモンスターは融解と凍結で氷の塊になっていました。雪面も飴をかけたように透明な氷で覆われています。
知床岳への尾根に上がるとオホーツク海に筋上の流氷が見えました。羅臼側も風に乗って国後島から流氷が流れてきていましたが、どちらにしてもほんの少しです。知床岬の台地ももう積雪がないので草地が尾根と色が違っていてはっきりわかりました。
知床岳山頂から両側にオホーツク海、国後島、ルサ-ルシャの最低鞍部の向こうに硫黄山と大展望を楽しみ下山開始。台地上は冷たい風で雪面は安定していましたが、急傾斜の尾根の雪は腐ってしまい踏み抜け崩れてしまい一苦労しました。
テントサイトに戻ってデポジット回収とゆっくりパッキング。低標高部の雪も当然腐っていてスノーシューのデッキに乗って重くなります。とはいえ下りなので快調に足を運びます。
大潮と融雪の増水を考慮してカモイウンベ川の渡渉のためにウェイダーを用意したのですが杞憂に。流氷は見える範囲になかったものの波が抑えられて、増水もさほどではなく石伝いに渡渉できました。とはいえ前日は波打ち際に近いところを渡ったのですが、下山日は水量が多く渡ることができなくなっていましたが。番屋前の積雪も下山日にはほぼなくなってしまっていました。
今回は1日目は朝の航空便で北海道入りして昼からの入山(行動4時間)。2日目の最初に核心部を通過して山頂アタックして夕方になる前に下山(行動10時間)と、テント泊1泊2日にすることでゆっくり行動できる余裕のある知床岳になりました。日帰りでの12時間以上の行動もよいですが、テント泊も楽しいですよ。
(滝澤:JMGA登山ガイドステージIII)
2021年夏に知床連山を縦走して以来、知床岳を踏みたいと思っていました。
夜空の星達の輝き。朝日に照らされた真珠色のオホーツク。山頂からの雪を纏った硫黄岳。知床岬の台地。帯状の流氷。緊張の渡渉や部分的な急登下降。テント泊は楽しくて。様々な条件に恵まれて、思いを果たすことが出来ました。ありがとうございました。
こちらこそ知床岳の魅力を感じることができた二日間でした。
本当に素晴らしい山行をガイドとしてご一緒させていただきありがとうございました。
(滝澤)